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百日咳

 百日咳は、以前は「子どもの病気」でした。

 乳幼児がかかるとひどく長く続き、息が吸えない状態になったり、肺炎や脳炎など重篤となり、死亡することもある病気です。そのため以前よりワクチンが開発され、予防が世界中で行われています(三種混合ワクチン、四種混合ワクチンに含まれています)。その結果、日本では乳幼児の発症は激減しました。

 一方で、最近の百日咳は約半数が15歳以上の大人がかかります。それまでワクチンを接種できなかった方や、接種しても獲得した抵抗力がしだいに低下してしまったためかかってしまうと言われ、大学生で流行したエピソードはまだ記憶に新しいところです。思春期以降の成人が百日咳にかかっても特有の咳症状は呈しにくく、重症化することもまれです。しかし問題は、百日咳と気付かれずにワクチン接種前の赤ちゃんに感染させてしまうことです。海外の報告では、6ケ月以下の赤ちゃんへの最大の感染源は両親であることが報告されており、その割合はなんと55%にも及びます。

 現在日本では2歳以降、百日咳含有ワクチンをうつ機会がありません。四種混合ワクチンや三種混合ワクチンなどの不活化ワクチンは、どうしても反復して接種をしないと免疫が下がってきてしまいます。現在専門家の間で、小学校6年生で接種している二種混合ワクチン(破傷風・ジフテリア)に百日咳を加えた3種混合ワクチンに変更する検討、もしくは5歳児に再接種する検討などが行われています。

 長年にわたるワクチン接種対策により、いまではあまり見かけなくなった疾患もあります。しかし、そのような病気がなくなったわけではなく、また海外では依然として流行があり、日本に持ち込まれてしまう病気もあります。百日咳で死亡してしまう子どもをゼロにすることは不可能です。

 一人の健康を守ることが周りの人の健康を守ることにもつながります。ワクチンをうたないデメリットもしっかり理解し、スケジュールどおりの回数を接種し、子どもたちの健康を守ってあげたいですね。